解雇された(されそうな)とき
①「能力がない、仕事に向いていないから辞めてもらう。」
- 退職を強要することは違法行為で認められていません。
- 「辞めるつもりはありません」ときっぱり断りましょう。絶対に自分から「辞めます」と言ってはだめです。
- すぐに労働組合に相談しましょう。
- 簡単に解雇はできません。制約があります。いやがらせ、いじめなどを利用して退職や解雇にしたら「解雇権濫用」でその解雇は無効です。
- 解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は、その権利を濫用したものとして無効」(労働契約法第16条)です。
②「君はクビだ」と言われた。
- 「わかりました」などとは言わないで、解雇の理由を明記した「証明書」を請求してください。
使用者は、労働者から「退職証明書」を請求された場合には出さなければなりません(労基法第22条)。それは、納得のいかない解雇を撤回させたり、不払い賃金を支払わせたりするときの手段です。
③「経営不振だから辞めてくれ」と言われた。
- 「整理解雇なのか?」と問いただしてください。もしそうなら、「整理解雇の四要件」を満たすことが必要です。
④「自己都合の方が後々いいので退職届を出してくれ」と言われた。
- これも絶対に自分から退職届は出してはいけません。やめるつもりはありません。と宣言して、労働組合に相談されることをすすめます。
- 万一、退職届を出してしまった場合は、すぐ撤回してください。撤回も文書で提出するといいでしょう。なお、「争い」になった場合は、「退職届」を出さざるを得なかった事実経過を記録しておいてください。
パート・アルバイト・派遣などのトラブル
①「君はあしたから来なくて良い」と言われた。
- パートでもアルバイトでも労働基準法が適用されます。
- 「解雇予告手当」(30日分の賃金)を請求できます。14日以上勤務している場合。
②繰り返し契約更新され、もう2年以上も働いているのに突然「契約更新」を拒否された。
- 2ヶ月、6ヶ月という短期契約でも自動的に更新されたり、続けて勤務することが期待されるような場合には、「期限の定めのない契約」(常用雇用~正規社員)とみなされ、正当な理由のない解雇(雇止め)は違法です(労働契約法第19条-13/4/1以降)。
- 有期契約が反復更新されて通算5年を超えたときには、労働者の申込により期間の定めのない労働契約に転換できます(労働契約法第18条-2013年4月1日施行)。※ただし、この法律の適用は施行日以降なので、実際に5年を迎えるのは2018年4月1日となります。
- 契約社員・準社員などの名目でも有期期限の雇用が繰り返し更新されている場合は上記と同様に見なされます。
- 使用者は、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(厚生労働省)にもとづいて、契約締結時に、満了後の契約更新の有無を明示しなくてはなりません。契約更新をすると明示した場合には、「する場合」「しない場合」の判断基準も明示しなくてはなりません。
派遣社員のトラブル
★派遣社員は、派遣元(雇用する会社)と派遣先(実際に働く会社)がことなりますから、さまざまなトラブルが発生します。
★いくつかのトラブルの代表的な例です。
①請負と派遣の違い
- 請負は注文主と請負契約をした会社が、仕事を引き受けますが、派遣と違い、業務の遂行などは請負業者自らが行います。しかし、実際には、注文主が直接請負労働者に業務の指揮命令を行っている場合が多く、実質的には派遣労働と見なされます(偽装請負)。
②派遣労働では、直接雇用申し入れ義務が生じる場合があります。
- 「派遣受入期間」の制限のない業務では、3年を超えて同一の労働者を同一の業務に受け入れている場合、この同一の業務に新たに新しい労働者を雇い入れる場合は派遣先は、その派遣労働者に直接雇用を申し入れなければなりません。
「派遣受入期間」の制限のある業務(最長3年)では、派遣受入期間制限に抵触する日以後も派遣労働者を使用する場合は、それまで働いてきた派遣労働者で、派遣先での直接雇用を希望する者に対して直接雇用の申し込みをしなくてはなりません(労働者派遣法第40条の4)。
しかし、それを悪用して、3年で契約を解除したり、雇止めしてくる事例が多く見受けられます。
③契約期間中の契約解除
- 派遣契約が、派遣先から中途解除されたことをもって、労働者を解雇する場合がありますが、それは出来ません。中途契約解除されても、派遣元は、労働者に契約期間の賃金を全額支払わなければなりません。
④繰り返し契約されている派遣労働者への契約解除や更新拒否
- 最近は「契約期間」を一ヶ月ごとに更新する場合が多く見受けられます。この場合、一ヶ月ごとに契約更新するので、事実上中途契約解除はなくなり、合法的にいつでも一ヵ月後に雇止めできるようにみえます。
しかし、「有期労働契約」を繰り返して、続けて勤務することが事実上期待されていたり、事実上自動的に更新を重ねている場合は、「期限の定めのない労働契約」と見なされます。したがって、正当な理由のない雇止め(解雇)となり無効です(最高裁判例)。派遣労働者であっても、一定期間雇用を継続した労働者を契約更新拒否=「雇止め」する場合は、正規労働者を解雇するのと同じ理由が必要になります。すなわち労働契約法第16条にのべられている解雇の客観的な合理性が必要です。「契約期間満了」は、正当な解雇理由にはなりません。
⑤休日(年次有休休暇)、残業代などは、労働基準法どおり、派遣労働者にも適用されます。
⑥雇用保険や社会保険、厚生年金保険などにも条件があえば加入が義務となる場合もあります。
さらに詳しいことはお問い合わせください。
⑦日雇い派遣は原則禁止(2012年10月1日施行)
この他にも、残業代不払いがおきたとき、会社が倒産してしまったとき、突然の出向配転がおきたとき、賃金の未払いがおきたとき、労災問題、セクハラ問題、職場内でのさまざまないじめ(パワハラ問題)などさまざまなトラブルがおきています。
こんなときは一人で悩まず、すぐ相談しましょう。
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